牟岐線途中下車の旅

交通記録 引田→阿波海南
※ こちらは25年2月5,6日のものです。

 おはようございます。今回は徳島県内を南北に走る、牟岐線を途中下車しながら終点まで向かおうと思います。

徳島駅
高徳線と牟岐線
上部の黄緑色の点が引田駅

 JRの乗車券を100km以上にすると、その区間で後戻りしない限り途中下車が出来るようになります。ですが、牟岐線の起点・徳島駅と終点・阿波海南駅を結んだだけでは100kmに満たず、途中下車が出来る乗車券になりません。そのため、徳島駅よりも北・高徳線の引田駅から乗車券を通すことにしました。引田→阿波海南にすることで走行距離が100kmを超え、途中下車可能になります。夜行バスで四国に入るプランでしたが、高速引田というバスストップがあるので、そこを使うことにしましたが、正直かなり悪手でした。

高速引田BS
引田駅
引田駅前

 私は名古屋・名鉄BC発丸亀行のさぬきエクスプレスに乗車していたのですが、高速引田到着予定時間が5:09。しかも道が空いていたようで4:40に着きました。徳島方面に行く普通列車の始発は7:04ということで2時間も待ち時間があります。こんな時間ですからやっているような施設は殆どありません。そして何より非常に寒かったです。海の近くということもあり風も強く、寒さに耐える時間と化しました。高速引田から駅へは30分ほど歩きました。駅で地元の方と少し話したりと面白いこともありましたが、基本的にはおとなしくバスで高松まで行き、そこから列車に乗る方がよさそうです。東かがわ市引田(ひけた)、趣のある街並みも多くありそうな雰囲気でしたので、ぜひ明るい時間にリベンジしたいですね。

朝日

 引田駅から徳島方面に向かいます。一番列車は特急うずしお1号です。車体の知識は殆どないのですが、このうずしお号の車両は、25年3月を機にうずしおとしての運用を終了したそうなので、今となっては貴重なものです。ですが、急いでもいないので普通列車で向かいます。この引田ー板野間は香川徳島の県境に位置し、阿讃山脈がそびえることから列車本数がかなり減ります。普通列車は7本/日みたいなので、この区間で普通列車に乗れたのは良い経験でしょう。7:04引田発7:47徳島着の徳島行です。

特急うずしお

 徳島駅について、いったん鉄道から離れ車を借り、蒲生田岬に行ってきました。戻って車を返し、鉄道旅再開です。牟岐線を出来る限り楽しみつくすのが目標です。なるべく多くの駅を使いたいとも思ったので、まずは徳島市街地を散歩しながら隣の駅に行こうと思います。キレイな街並みになっている新町川のそばには立派な県庁がそびえており、市の中心地たる様相を見せています。

新町川
港町のようなお洒落な雰囲気
徳島県庁

 さて、新町川を越えると、徳島駅の隣駅が見えてきます。阿波富田駅。現在は廃止されてしまいましたが、特急むろとの停車駅でした。しかし、特急停車駅とはいうものの無人駅で、ホームの一面しかない簡素な駅でした。しかし、市街地に位置するだけあり、乗る人はそれなりに多かったです。

阿波富田駅
奥が徳島駅方面です
牟岐線

 牟岐線を南へ進みます。徳島市を出ると、小松島市に入ります。小松島市の中心駅は南小松島ですが、今回は一駅手前の中田(ちゅうでん)駅で降りました。ここから市街地に向けて歩き、南小松島駅へと向かおうと思います。小松島市には港があり、中心地も港の周りに広がります。港のあるエリアと南小松島駅とは神田瀬川で隔たれており、川の南側には市役所や高校などが立地しています。

中田駅
小松島港
港近くの通り
神田瀬川
南小松島駅
駅前

 再び列車に乗って南へ向かいます。この日は悪天候で、小松島から阿南にかけて特に雪が強かったです。

南小松島駅 ホーム
阿波赤石駅
雪が強まってきました。

 阿南市街に宿を取っていたのですが、小松島市を出てもう一駅くらい降りてみたいと思い、同じく特急停車駅である羽ノ浦駅で途中下車をしました。

羽ノ浦駅
ホーム

 途中下車を申し出て駅の外に出たはいいものの、あまりに寒すぎました。この日の朝引田で凍えそうになっていたのでこれ以上は耐え切れず、運転停車していた車内に戻りました。不審であったとは思いますが、寒さに耐えきれないと思ったので仕方がないです。このままこの列車の終点・阿南駅まで向かってしまいます。
 そうはいっても羽ノ浦駅も阿南市内です。わずか3駅で阿南に到着です。

阿南駅 西口
阿南駅 東口

 阿南市の西口には市街地が広がっています。阿南市役所や牛岐城の史跡があります。牛岐城にあるアーチからは阿南市役所が見え、かなり見栄えが良く見えました。このドームのようなものはどうやらライトアップされるようです。発光ダイオード会社の本社が阿南市に位置しており、光のまちと呼ばれるそうです。いつかライトアップも見たいですね。

奥には阿南市役所が
城の上部に向かう階段
城門の跡
市役所

 阿南市で一泊しました。更に南へ向かいます。阿南市は徳島県の第二都市であり、阿南駅も県内で3番目に利用者の多い駅となっています。そんな阿南駅と徳島駅との間は比較的本数も多くありますが、牟岐線の阿南以南はかなり本数が減ります。
 せっかくですので阿南駅の隣、見能林(みのばやし)駅を使おうと思います。見能林はまだ市街地に近く人も周りに多くいます。7:51見能林発8:15由岐着。阿南市を出て美波町に入ります。

見能林駅 ホーム
見能林駅
由岐駅

 美波町に入りました、由岐(ゆき)駅です。特急停車駅ではありますが、かなり静かな駅です。この地域は旧由岐町であり、山に囲まれた漁港町といった雰囲気です。

由岐駅 ホーム
駅舎の中に水槽が
ぽっぽマリンというそうです
由岐公民館に併設された津波避難タワー
由岐城があったとされる、城山公園
明治初期には戦の場になったそうです
漁港

 由岐駅周辺・旧由岐町の市街地は山に囲まれています。先述した通り阿南以南の牟岐線は本数が少なくなっており、次の列車までは2時間半以上あります。そのため、少し見てみたいところへ歩いてみようと思います。小さな市街地を抜け、山を越えます。途中でちょっとした展望スペースに入れたので、そこから見ると美しい光景が。広い砂浜が顔を覗かせています。展望スペースから降り、もう少し歩みを進めると、広い砂浜が姿を現しました。

展望スペースへと続く階段
美しい砂浜が見えました
こちらも展望スペースより
田井ノ浜

 田井ノ浜という浜で、海水浴場も併設されています。こんな時期なので当然泳いでいる人はいませんし、そもそも歩いているような人の姿も殆どありません。美しい海と砂浜を自分1人のものにできているような感覚を覚え、悪くない感じです。

奥に見える建造物のそばに駅があります

 また、ここには駅があります。しかし、ただの駅ではありません。田井ノ浜駅という無人駅で、臨時駅という扱いになっています。海水浴シーズンに限り列車の停車が用意されており、それ以外の期間では、全列車が通過するみたいです。通過列車しかないため、ホームには立ち入れないようになっていました。駅には監視塔が設置されており、独特な雰囲気が漂います。

駅の出入口であろう場所
海水浴場側と線路との間には柵もありません
駅前に銅像が
きっぷを扱っていたであろう窓口も見られます
道路側から
臨時駅のため、ナンバリングはありません
看板もひっそりと佇みます

 もう少しこの周辺を散策します。少し山の方に入ったところには田井遺跡というものがありましたが、全くもって人の気配がせず、やっているかも不明だったので、中に入るのは避けました。また、蟹が道路を横断するようで、海沿いの道には度々このような看板がありました。ほっこりするような可愛らしいイラストです。

田井遺跡

 さて、次発の列車まではまだ時間がありますし、ここにいても田井ノ浜駅には列車が停車しません。また少し歩いて、さらに阿波海南よりの駅に向かいます。途中で線路を超え、トンネルを迂回しながら山も越えて次の集落・木岐に向かいます。

普通列車 穴吹行
奥に見えるのは恐らく 箆野(ぬの)島という無人島です
お遍路さん用の休憩所
山越え
透き通った水が見えます

 旧由岐町の木岐(きき)という集落に来ました。なんとも可愛らしい名前です。木岐は漁港を中心とした集落なようで、港の周りに建物が立ち並びます。

木岐港

 漁港から川沿いに少しだけ内陸に入ったところの木岐駅があります。今度は臨時駅ではないので、列車に乗れます。10:58木岐発11:02北河内着の普通列車 阿波海南行。ちなみに漁港を抜けて南へ行った白浜という集落であればお手洗いがありました。こちらもお遍路さんの休憩所だそうです。

駅前にて細くなった木岐川
木岐川に架かる線路の橋
駅そばの橋
木岐駅
阿波海南行
奥はE55 日和佐道路
山河内駅

 現在の美浜町は、由岐町と日和佐町が合併してできました。ここからはいよいよ旧日和佐(ひわさ)町に入ります。市街地は日和佐駅周辺ですが、一駅手前、木岐駅の隣である北河内駅で降りました。北河内谷川に沿って下降へ向かうと日和佐町もとい美浜町の市街地にたどり着きます。

北河内谷川

 市街地から東へ向かうと海に出ます。大浜海岸という海で、ウミガメが有名です。日和佐うみがめ博物館カレッタという水族館のようなものがありました。しかし、残念ながら今は改修中だそうです。個人的にはとても気になるので、いつかまたリベンジしようと思います。

日和佐うみがめ博物館 カレッタ
大浜海岸

 西へ戻り、駅の方面に向かいます。道中でよさそうなお店があったので、訪問。ひわさ屋 さんです。地物を存分に使用した、海山ごはんというもの。徳島名産の阿波尾鶏のから揚げや、日和佐や由岐、阿南市で獲れた新鮮な魚のお刺身を頂けました。豪華なご飯でとても満足出来ました。日和佐に来たらぜひともまた食べたいと思います。

海山ごはん
ひわさ屋 さん

 続いて駅前に向かいます。日和佐駅は牟岐線の中でも主要駅で特急も停車し、駅前には人通りもそれなりにあります。西口には道の駅が併設され、その先には薬王寺という有名なお寺などもあります。薬王寺もいけていないので、うみがめ博物館などとともにまた訪ねようと思います。

日和佐駅 東口
牟岐方面
牟岐線

 13:06日和佐発13:24牟岐着。牟岐線もかなり末端の区間になりました。乗客もかなり少なく、淋しさもありますがのびのびと列車旅を楽しめます。美並町を出ると牟岐町に入ります。牟岐線の名前になった牟岐駅に到着です。列車の発着設備もあり、有人の主要駅ですが、かなり静かなところです。

牟岐駅
駅の裏側

 次発は15:29発なので、2時間近く駅周辺を散策します。牟岐川を越えると南海地震の伝承碑があり、来ると言われている南海トラフ地震の被害の恐ろしさを物語っています。2時間を牟岐駅の周辺で潰すのは、正直かなり大変でした。ただ、牟岐駅からずっと東に行くと、モラスコむぎという博物館・水族館のような施設があるそうで、興味深かったです。しかし、公共交通もなく歩いていくには比較的距離があるので、今回は断念しました。正直行ってみても良かったと思います。

駅前
牟岐川と
牟岐中央橋
牟岐川と
大川橋
太平洋
南海地震の伝承碑

 また、牟岐駅はかなりレトロさが残っていて良かったです。時がとまったような雰囲気で、いつまでも待合室やホームにいられそうな感じです。居心地の良さがたまらないですね。

待合室内
牟岐線の駅舎がJR四国のえきちゃんになっています
駅員室
ホーム
普通列車
切り離された2両目

 牟岐線途中下車の旅、最後の乗車です。徳島方面から2両編成で来ましたが、ここで1両に切り離されました。15:29牟岐発15:42阿波海南着。牟岐線の最末端です。ちょうどこの一年ほど前に訪れた、阿波海南駅です。牟岐線の終点となっていますが、過去にはもう一駅先の海部駅までが牟岐線でしたが、現在は阿波海南駅が終点です。牟岐ー阿波海南間についても廃線の危機に瀕している区間にはなります。

阿波海南駅
DMVの走路

 阿波海南駅から少し北に行くと、阿波海南文化村というものがあります。DMVの発着地です。ちなみにDMVとは、Dual Mode Vehicleの略で、この阿波海南文化村から阿波海南駅まではバスとして走行、阿波海南から海部を経由し高知県東洋町の甲浦までは列車として線路を走行、そこからはまたバスとして道路を走行する、かなり変わった乗り物です。

 ということで、長くなりましたが牟岐線途中下車の旅はこれにて終了です。このあと海部に向かいましたので、その写真は最後に載せておきます。ここは海陽町で、阿波海南駅のある旧海南町から旧海部町へ抜けます。
 牟岐線は比較的マイナーな路線かと思いますが、非常に魅力的でした。1つの路線に絞ってここまでじっくりと観光したのは初めてですが、沿線でもまだ堪能しきれていないのでそこ魅力の豊富さがよく分かります。また来ようと思うので、皆さんもぜひ乗ってみて下さい。最高に楽しい鉄道旅でした。
 それでは。ありがとうございました。

海部駅
のなみ さん

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