むろと&岡山うずしお
交通記録 阿波海南→徳島→岡山
※ こちらは25年2月7日のものです。
おはようございます。徳島県の海陽町に来ています。ここから、25年3月のダイヤ改正で廃止されてしまった特急むろとを全線走破しようと思います。

2/6撮影


緑色:徳島駅
青色:岡山駅/山陽新幹線

水色:予讃線・本四備讃線・宇野線
橙色:宇多津駅
先に特急むろとについて簡単に紹介をします。JR牟岐線通り、起点である徳島駅と路線名にもなっている牟岐駅とを結ぶ特急列車です。これから乗る朝の徳島方面への便が2号、夜に徳島駅を出発する牟岐方面の便が1号と名前がついていますが、1日1往復しかありません。そんな本数にも関わらず、以前乗車した時にもそこまで混雑していた様子ではなかったので、廃止もまあ仕方がないと思えてしまう状況です。
ところで、牟岐駅は牟岐線の途中駅ですが、ここ阿波海南駅は牟岐線の終点です。冷静になって考えればこおにいては特急に乗車できそうにないですが、ちょっと変わった事情があるので問題ありません。下の写真が阿波海南駅の時刻表ですが、何か気が付くでしょうか。8:25発の行先である穴吹駅は徳島線の駅で、徳島駅を経由します。つまり、8:25以降に阿波海南駅を出る列車は全て牟岐線を全線走破して徳島駅へはたどり着くということです。しかし、6:44発の列車の行先は、なんと牟岐駅。全線で77.8kmある牟岐線のうち、末端の牟岐ー阿波海南間はわずか10.1kmです。では、どうして早朝にこのような列車が設定されているのでしょうか。

この時間に列車がいない阿波海南駅にいられるのは珍しいです

しばらく待ちます。とにかくこの始発に乗らないことには始まりません。6:30過ぎ、阿波海南駅に1本の列車が入線してきました。なんと普通列車の牟岐行が来るはずなのに、やって来たのはむろとのヘッドマークを輝かせた特急車両です。しかし、側面の方向幕は「普通」を示しています。

特急むろと を名乗る普通列車です

これは一体どういうことなのでしょうか。前日の夜、徳島駅を発車する特急むろと1号牟岐行は、牟岐駅に到着し一仕事終えます。その後は恐らく牟岐駅で留置され夜を明かし、翌日のむろと2号の運行に備えます。本来ならばそのまま牟岐駅のホームに入線し、牟岐始発の徳島行特急とすれば良いのですが、牟岐ー阿波海南間の各駅を利用する人を拾うための動きを見せます。牟岐始発の普通列車の阿波海南行として阿波海南駅に一度向かい、阿波海南駅で折り返し、普通列車の牟岐行となります。その後この列車は牟岐に着くと、回送列車に切り替わることなく特急むろと2号に化けるのです。そのため、上りのむろと号は、事実上阿波海南始発となっているのです。もちろん、制度上ではこの列車は牟岐行の普通列車で、むろと2号は牟岐始発です。
ちなみにむろと号の廃止ということで乗りに来た人も見られました。しかし、皆さん牟岐始発の普通に乗って阿波海南に来られていたので、阿波海南駅に入線する姿は1人で堪能することが出来ました。かなり貴重なものが見られたと思います。




6:44発車です。車体といい完全に特急気分ですが、この区間は普通列車。阿波海南を出ると浅川・鯖瀬・牟岐と各駅に停まります。せっかく阿波海南ー牟岐間でこの列車を走らせてくれているわけですが、阿波海南駅から乗車したのは私と牟岐発列車に乗って来た人のみ、牟岐までの各駅でも恐らく1人ほどしか乗車してきた人はいないように見えました。苦しい状況のなか列車を運行して下さることに感謝をしなければなりません。
牟岐にはすぐに着きます。発車まで3分ほどがあったのでホームに降り立ちましたが、方向幕は当然既に切り替わっていました。




6:59 特急として牟岐を発車します。徳島から南方に進み、阿波海南を越え、高知県に入り、その先が室戸市です。室戸・そしてその先後免方面への延伸も目指された牟岐線ですが、室戸延伸すら叶わずにむろとの名を冠した特急すら消えんとしています。淋しいものですが、仕方がありません。最後の旅を楽しみます。
牟岐から先の停車駅は、日和佐・由岐・新野・桑野・阿波橘・阿南・羽ノ浦・南小松島・阿波富田・徳島です。美波町の旧町である日和佐・由岐をそれぞれ経由し、主要都市である阿南市内で新野から羽ノ浦まで5駅も停車、その後は小松島市の中心である南小松島に停まり、徳島市街地を目指します。阿南市内の各駅からはそれなりにお客さんが乗って来て、羽ノ浦を過ぎたあたりからは車内も比較的込み合ってきました。








8:20 徳島に到着です。ここから先は、また25年3月で廃止されてしまうタイプの特急に乗車します。乗って行くのは特急うずしお6号。しかし、うずしお号は高松と徳島を結ぶ特急として需要はかなりあり、高頻度で運行されています。では廃止とは何の話なのかというと、特急うずしおの岡山発着便のことです。うずしお号は基本的に高松と徳島を結ぶのですが、1日2往復だけ徳島と岡山とを直通するうずしお号が存在しました。今回はそんなうずしお6号岡山行に乗車します。高松と徳島を結ぶ高徳線、それを全区間に渡り走り抜けるうずしお号です。


今は亡きツーショットです


滅多に見られなくなるでしょう
8:23徳島発。むろととの接続は完璧です。このうずしお6号の高松駅までの停車駅は、勝瑞・池谷・板野・讃岐白鳥・三本松・志度・屋島・栗林です。うずしおは停車パターンがやや複雑ですが、勝瑞に停車、および引田を通過するタイプは比較的珍しいタイプなようです。むろと号が接続し、藍住町に勝瑞駅に停車するというのは、徳島県民を拾うことに特化したタイプのうずしおなのでしょうか。
1時間強で高松に到着。ついにうずしおでは走れなくなる区間に突入です。高松から先の停車駅は宇多津・児島・岡山です。今まで走ってきた高徳線は高松駅で終了。ここからは宇多津駅まで予讃線になります。高松駅は高徳線・予讃線が同じ方向に伸びているので、高松を境に進行方向が変わります。ですが次の宇多津まではそのまま座席シート後ろ向きに進んでいきます。
宇多津駅に到着。ここでは再び進行方向が変わります。この岡山うずしおは2回も進行方向を変える珍しいtっ級列車だったのです。しかし、高松から岡山方面に向かう場合、坂出駅から短絡線を使うことで進行方向を変えることなく本州に入れます、快速マリンライナーの経路ですが、うずしおはそのルートは使わないのです。その理由は、宇多津駅にありました。宇多津では8分停車。その間に、高知駅から土讃線を経由してやって来た特急南風と連結しました。坂出ではなく宇多津に停めることによって南風号との連結も達成し、2度の進行方向転換で座席シートを入れ替えずに瀬戸大橋に入れるといいことずくしということでした。
ここから先は瀬戸大橋を通り本州・岡山に入ります。






宇多津から35分、岡山駅に到着です。ということで、今は亡き2種類の特急列車に乗ってきました。心のどこかに寂しさがありつつも、とても楽しく充実した時間でした。いつかまた、臨時列車などで同様の区間で何かが運行されることを祈り、終わりにします。
それでは、ありがとうございました。

