大井川鐵道

交通記録 千頭⇆井川
※ こちらは26年6月16日のものです。

 おはようございます。早朝に名古屋を出て秋葉神社に参拝し、そのまま山間部を縫ってやってきました、千頭です。大井川鐵道の駅で、本線と井川線の境界となっています。千頭以南の本線は人里を走るものの、以北の井川線はそのほとんどが山間部で、定期利用者もそう多くなく、観光路線という雰囲気が強いです。現在、本線の川根温泉笹間渡ー千頭間は不通になっており、途中の家山から千頭までバスも出ていますが、名古屋からだとどうしても井川線の始発に間に合わないので、車で来るに至りました。

トーマス車両などが顔を並べます
千頭駅

 もうすでに実施されてしまいましたが、ダイヤが少し変更され、井川線の乗車運賃は一律3500円になりました。色々と事情はあるのでしょうが、事実上の大幅値上げとなってしまったので、その前に乗りにきたわけです。値上げだったりフリーパスがなくなったりも痛いのですが、小さい駅の通過列車が増えてしまったのが悲しいですね。ひとまず、乗車していきます。

 値上げ前というのもあってか、かなり混雑していました。多くの人を乗せて、ゆっくりと大井川の奥地へ進みます。川根両国・沢間・土本・川根小山・奥泉と停車し、アプトいちしろへ。ここでしばらく停車します。ちなみに、両国から小山までの駅は、かつて1日5往復あった停車便が1往復になりました。いくら定期ユーザーがほぼいないとはいえ、ここまでする必要があるのかとは思ってしまいますね。そんなことはさておき、アプトいちしろです。

大井川と市代吊橋
旅客車とレール
ラックレールが見えます
歯車を持った牽引車が到着
連結

 少し変わった駅名ですが、「アプト」というのは地名ではありません。このアプトいちしろ駅から隣の長島ダム駅まではかなりの急勾配を登っていく必要があるのですが、この際に活用する方式が、アプト式というシステムです。急な坂道を登るために線路の間にラックレールと呼ばれる専用のレールがあり、車体に付いた歯車と噛み合いながら進んでいきます。このアプトいちしろ駅で、ラックレールと噛み合う歯車を持った車体と連結して坂道を登ります。駅で連結を見守って、更に先へ。隣の長島ダム駅でアプト式車両を切り離し、井川へ。

アプトいちしろー長島ダム間
長島ダムが見えました。
奥大井湖上駅周辺

 大井川に沿うこと約2時間、ようやく井川に到着。所在地は静岡市葵区。静岡駅などを有する行政区ですが、かなりの山奥です。12:25に井川を出るので、それまで駅周辺を歩きます。

車両
線路は途切れていたりもします
かつて伸びていた、貨物駅へ向かう線路跡
ゆるキャンののぼりもありました
井川駅

 駅から歩いてすぐのところに井川ダムが位置しており、大きなダム湖を望めます。ダムから流れ出ていく大井川も、また圧巻のもの。

井川ダム
ダムを経て下流へ
井川湖
正式には、井川五郎ダムというそう

 時間はまだあるので、もう少し奥へ。先の述べた貨物駅への廃線が残り、散策路のようになっています。堂平という駅があったそう。湖畔の遊歩道を歩いていると、突然線路が現れました。かつてはここの列車が走っていたと思うと、なんだかゾクゾクしますね。トンネルなども残り、木々の向こうには湖も見える、良いロケーションです。堂平の駅は少し離れているため、堂平までは行かず途中で引き返すことに。大井川鐵道で戻ります。ちなみに、現在の葵区に位置する井川の集落はまだもう少し先です。井川線もやはり生活路線とはなりえないのでしょう。

遊歩道
線路が現れます
遊歩道からの井川湖
トンネルもあります

 駅に戻り、千頭行の乗車。この便が、井川を出る最初のものです。この日の予定では、これで尾盛という秘境駅に立ち寄るつもりでした。秘境駅として有名な室蘭線の小幌と同様、公道で外とつながっていない、鉄道でしか行くことができない秘境駅です。しかしながら、クマが確認されたとのことで下車しないようアナウンスがありました。残念ですが命には代えられません。ただ、先のダイヤ改正に伴って尾盛の停車便は1日1往復に。井川行が13:44で千頭行が15:48となり、尾盛に2時間もいるのは流石に厳しそうなので、もう訪れることは出来ないでしょう。再びになりますが、ここまで通過駅を設ける必要あるのですかね。もう間もなく廃止ということなのでしょうか。

車内からの井川ダム
車内からの尾盛駅

 尾盛で降りられなかったので、仕方がなく先へ進みます。接岨峡温泉を過ぎ、奥大井湖上駅で降ります。大井川に浮かぶ孤島のような駅が特徴的な、全国屈指の人気駅です。

ホームの一部は橋上
遠くの対岸に旧線が
ホームと大井川

 列車から降りたところは、まさかの橋上。結構な高所恐怖症のため、かなりビビりました。ひとまずは列車を見送り、駅を見ます。横を見れば一面緑。下を見れば川。かなり独特な駅です。対岸には、大井川鐵道の旧線も確認できました。レイクコテージ奥大井という施設があり、お手洗やカフェがあるほか、橋やホームを上から望めました。

レイクコテージ奥大井から見た橋
ホームと旧線

 実はこの駅、線路の横に付けられた橋を渡って対岸に行くことができます。ここから歩いて先の駅に向かおうと思います。レインボーブリッジ。それなりに長い橋で、かなり怖かったです。横を列車が走るタイミングだと揺れを大きく感じそうで、より怖いものです。

 対岸からは、よく見る駅全体の姿を見られます。湖上、というよりは湾曲する川に浮かんでいるように見えますが、長島ダムによる接岨湖の上ということになっています。確かに、川にしては水量が多くも見えるでしょうか。何はともあれ圧巻の光景。一度は自分の目で見たい絶景です。

 ここからはハイキング。列車本数も多くないのでちょうどいいです。国道に沿って、ひとまず目指すのは長島ダム駅。

茶畑
川根茶は有名ですね
大井川
線路やダムが見えてきます
線路と交差
長島ダム駅はもうすぐ

 思ったよりもすぐに長島ダム駅まで到着しました。ここからはダムを見ながら下り、アプトいちしろまで向かいます。私が最も親しんだ丹沢湖の三保ダムに近いもの感じたりもしました。大きなダムと放水路に加え、人のいない雰囲気、かなり好みです。

長島ダム駅
ダム管理所
噴水がダム湖にありました
下流の水路

 長島ダム、駅の対岸に移りここからアプトいちしろ駅に向かうわけですが、その道中で2つのトンネルを越えることになります。まずは1つ目のトンネル、その名も楽しむフォトトンネル。その名の通り写真が多く飾られており、楽しく歩き進めることができます。街灯はほとんどなく真っ暗で、ドッキリ要素もあるので少々怖いですが、1人でなかったのでセーフです。中にはゆるキャンの写真も。きぐるみリンちゃんも来ていたみたいです。

ビックリ要素

 なぜゆるキャンの写真があるかと言うと、このトンネルの先にキャンプ場があるからです。アプトいちしろキャンプ場。本編でも大井川キャンプで登場したスポットです。グッズの取り扱いもあり、キャンプ場利用者でなくとも購入できます。

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 さて、原作の方では、なでしこがアプトいちしろ駅からキャンプ場へ行く際通ったお化けトンネルが登場します。ルートは逆ですが、キャンプ場から駅に行くためにそのトンネルを抜けます。その名もミステリートンネル。トンネル内部は案の定真っ暗で、人感センサーにより光るお化けたちが待っています。正直1人だと通れていなかった感はあります。前にも後ろにも我々しかいないので、その雰囲気も相まってかなり怖いものでした。ところで、原作だとなでしこは長島ダム駅に向かっているはずですが、フォトトンネルは大丈夫だったんですかね。。。

入口から既に暗い

 長島ダム駅に戻ります。ここから千頭行に乗り戻るのですが、尾盛にも行けずやや消化不良気味であったため、もう一駅降りてみようという話に。言うまでも無く尾盛ほどの秘境駅に行くことはできませんが。アプトいちしろを出て寸又峡に向かうバスが発着する奥泉を経て次の駅、川根小山で降りてみました。

トンネルを抜けると
アプトいちしろ駅
川根小山で列車を見送ります
川根小山駅
待合所
「ねこ」がピックアップされます

 列車が去ったあとの駅は驚くほど静か。この駅は、名に「ねこ」という文字列が入ることから猫好きの聖地になっているらしく、自身の愛猫の写真を持ってきて待合所に貼る人が多いそう。多くの可愛らしい猫の写真が多く見られました。猫という漢字で絞ると、立山の猫又駅がありますが、一般客が気軽に立ち寄れるという点で重宝したのでしょう。ダイヤ改正により、なかなか気軽に訪れるのは難しくなりましたが、後述の手段でアクセスがものすごく悪い、というわけではまだありません。
 さて、駅を離れ坂を下ると小山の集落が待っています。さすが川根というべきか、大きな茶畑が広がります。一応は集落となっており、人の営みも感じられますが、やはり鉄道利用は僅少なのでしょう。ですがここには魅力も何個かあります。まずは、大井川における水力発電の起源ともいえる場所。ここで川を湾曲させ、牛の頸(ギャーノクビ)という水路トンネルを掘って発電を開始したそう。大井川の発電発祥の地として今に名を残します。また、吊り橋もありました。高所恐怖症ですが、大井川に来たからには吊橋の1つや2つ渡っておかなくては。おっかなびっくりで無事渡れました。

小山の集落
発電所の跡
小山橋
橋から大井川がよく見えます

 吊橋の近くに、大沢入口というバス停があります。千頭駅と寸又峡とを結ぶバスのもので、奥泉駅を経由して向かう便ですが、千頭ー奥泉間の各駅からそう遠くないところにバス停が置かれています。このバスは1日6往復走っているので、小山集落にアクセスすること自体の難易度はそう高くありません。この時使用していた井川線のフリーきっぷは寸又峡のバスも乗車できるため、きっぷを見せて千頭駅まで連れて行ってもらいます。
 千頭でゆるキャングッズを見て、駅のSL資料館を見て千頭を後にします。自然豊かでとても楽しい時間でした。

千頭駅前

 最後に余談として、井川線のダイヤ改正や値上げについて、個人的に思ったことを。1乗車につき一律3500円となった背景として、同行者の友人は、奥大井湖上周辺で短区間乗車を行うツアー客からもしっかり料金を取りたいのではないか、という旨の話をしてくれました。確かに大型観光バスが湖上駅周辺ではそれなりに見られ、運賃はあまり取れなかったというのが当時の状況なのでしょう。当時のツアーがどうなっていたのか定かではないですが、おそらくは奥大井湖上ー接岨峡温泉間などで乗車体験をし、大井川地域へのアクセスはバスになるのでしょう。とはいえこの区間だけを大幅値上げするのはおかしいので、全区間で値上げしたのでしょう。
 個人的には、1乗車3500円は高すぎるようには思いません。金に余裕のない学生の時分でこの金額を払って乗車するかは考え物ですが、ゆっくり走りながら大井川を見下ろし、トロッコ列車のように解放感のある車両はさながら観光列車のようなので、この値段もまあ納得ではあります。しかし、上述してきましたがフリーきっぷの廃止はかなり悲しいですね。観光列車化であることを考えれば、乗り放題になるきっぷが存在しないことも頷けますが、途中下車も検討した乗車は本当にしにくくなってしまいましたよね。
 また、途中駅の停車本数の激減もかなり残念です。バスがありはしますが、これも途中下車が難しい1つの理由となっています。もともと私が乗り鉄に楽しみを見出した最大の理由は途中下車であり、そうである人もやはり多いでしょう。残念ですが、今のままでは途中下車をしながらの旅は半ば不可能なので、乗りに行くこともよほどのことがない限りはなさそうです。もちろん、廃駅になるなどが決まれば別ですが、それもそう遠くない未来なのかもしれないですね。中部電力からの支援金で井川線自体は黒字であると聞きますが、ここでしっかり稼いで本線を復旧させたいのか、単なる金儲けのためなのか。駅が廃止して、維持管理費も下げたいのでしょう。熊による被害も出る恐れがあるので、人気のない駅での乗り降り者も出したくないのかもしれません。数年後には千頭・奥泉・アプトいちしろ・長島ダム・奥大井湖上・接岨峡温泉・井川だけになっているかもしれません。何なら奥泉や接岨峡も怪しいかもしれないですね。とはいえ私は詳しくもない人間なので想像に過ぎません。あまり暗転しないことを祈っています。
 とはいえ奥大井地域はかなり魅力が詰まっているのも事実です。鉄道に乗るかは置いておいて、皆さんもぜひ訪ねてみてください。大井川鐵道が儲かり、本線が復旧し、井川線が再度値下げやフリーきっぷの復活など、叶うこともないように感じますが、そんな未来を願って。
 それでは。ありがとうございました。

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